東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 水環境制御研究室
社会連携講座「未来型の都市浸水リスク管理・制御システム」

PROJECT
プロジェクト

 

ポンプゲート施設の効果的な運用に関する共同研究

石垣共同研究、2019~2020年度

地方都市における集中豪雨に対する浸水被害を防止・軽減するためには、降雨情報と浸水予測結果を統合的に解析し、ポンプゲート施設の効果的な運用を目的とした管理と制御のための運転システムが必要である。
本研究では、集中豪雨による浸水や氾濫に備えるため、河川や都市下水路、下水管内の水位やレーダー雨量等のリアルタイム情報を取得するとともに、浸水モデルを活用して、浸水を高精度に予測する。そして、降雨と水位のビッグデータを統合的に解析して、ポンプゲート施設の効果的な運用を目的とした管理と制御のための運転システムを創出する。

UAVを活用した高精度な地表面情報作成

ポンプ施設群の統合的運用による内水氾濫被害軽減効果に関する研究

公益信託下水道振興基金、2020年度

本研究では、降雨の時空間分布を考慮したポンプ施設群の統合的運用による内水氾濫被害軽減のための方策を提案する。横浜市都市部を対象に構築された都市浸水解析モデルに、ポンプ施設をモデル要素として組み込むとともに、遺伝的アルゴリズムにより各ポンプ排水施設の起動水位、排水強度等をパラメータとする、統合的ポンプ排水モデルを構築する。そしてモデルにより最適化されたポンプ排水施設の群的運用により、雨水貯留管の高貯留率と内水氾濫の浸水深の減少を実現する稼働方法に関して数値実験を行う。最終的に、現状の下水道ストックを最大限に活用した施設運用を行うことで、整備水準を超過する降雨強度への対策を示す。

新羽末広幹線末端部における排水ポンプ

中小河川の水害リスク低減策と地域水防災意識向上に関する研究

国土交通省河川砂防技術研究開発、2020~2021年度

河川管理者と沿川自治体協働による中小河川の浸水リスク低減策の有効性を明らかにするため、内外水の複合氾濫モデルにより河川への影響を考慮したポンプ排水効果とグリーンインフラによる雨水流出の抑制効果を評価する。また、浸水に脆弱な地域住民の水災害に対する意識変革に向け、不確実性を伴う水災害リスク情報を自発的な避難行動に結びつけるための情報伝達のあり方をアンケート調査と心理実験から明らかにする。

令和元年台風19号に伴う世田谷区低地の浸水

沿岸部都市河川流域における複合水災害モデルの構築と浸水リスクの多角的評価

JSPS科研費基盤C、2020~2022年度

本研究では、横浜市を流れる都市河川である帷子川を対象に、さまざまな要因による浸水リスクを評価するために、河川洪水・内水氾濫・高潮の複合的氾濫事象を一体的に解析可能な、河川・下水道・海岸のシームレス結合モデルを構築する。さらに、数値気象モデルによる既往台風の再現計算において、初期値をわずかにずらしたアンサンブル計算により、カオス的挙動から東京湾近傍を通過するさまざまな台風のパターンを生成する。これを気象外力として与えることで、多様な洪水、高潮、内水パターンによる複合的氾濫計算を行うとともに、水災害ハザードを多角的に評価することで、沿岸部都市河川流域における浸水リスクの全体像を明らかにすることを目的とする。

シームレス結合モデルによる複合水災害解析

河川・下水道のシームレスモデルを用いたリアルタイム浸水予測手法の開発

横浜市自主研究2015~

本研究では、鶴見川下流域のポンプ排水区における管内水位の連続観測を継続して、様々な降雨における管内水位のモデル再現性の向上を目指す。また、過去に浸水実績のある帷子川流域を対象として、新たにシームレスモデルを適用して、横浜駅西口などの浸水実績や幹線内水位を再現可能なモデルを開発することを目指す。このモデル開発は、将来的には、流出抑制などを含めたグリーンインフラとなる帷子川の旧河川のプロムナード整備などの効果や横浜駅西口の地下街への、台風や集中豪雨時における浸水予測情報の提供につながる成果を生み出すことが期待される。

観測・数値予測の統合(令和元年台風19号出水・鶴見川)